今日の朝日新聞でまた取り上げていただいた。
1度目はこちら。11月4日

江上剛氏の「街かど経済散歩」というコラムである。
江上氏は元銀行員である。江上氏プロフィール

2007.11/21 朝日新聞

『銀行に被害者救う責任』
以下全文
「 色々な新聞に金融危機から10年という特集が掲載されている。10年前といえば、第一勧銀や野村證券などの総会屋事件という未曾有の金融不祥事の後を受けて、長銀や日債銀などが破綻したころだ。その金融危機は、大手銀行に公的資金という名の税金が注入されたことで収束した。その結果、合弁や統合で三つのメガバンクが誕生した。
 私にGさんという方からメールが届いた。メガバンクに自宅を競売にかけられそうになっている窮状を訴えてこられたのだ。内容は悲惨なものだった。
 バブルの頃、大手銀行の行員が相続対策の借り入れを勧めた。Gさんは大学時代の友人であるその銀行の支店長に相談した。友人として適切なアドバイスを期待したのだ。友人は、年金収入しかない年老いたGさんの母親に約2億円もの貸し付けを行った。その後、バブルは崩壊、土地価格は下がり、相続対策は意味をなさなくなった。
 母親はまだ生きている。利息だけは払い続けて1.4億円にもなった。元金は減っていない。
 ある日、銀行は競売をかけてきた。Gさんと母親に家を出て行けと言ったという。銀行に掛け合ったが、「自己責任」と取り合ってくれない。確かに借りた責任はある。しかし、せめて母親にこの家で死なせてやりたい。その希望さえも銀行はぜいたくだと言うのだろうか。
 私の小説「異端王道」(東洋経済新報社)にも過剰貸し付けの被害者が登場するが、モデルとなった方は今も銀行と戦っている。
 銀行はこの10年で変わったか?そう問われれば、変わっていないと言わざるをえない。こうした過剰貸し付けの被害の庶民を、まるで厚労省が薬害被害者に対するように無視し続けているからだ。血税で救われた銀行は、知恵と愛情で被害者を救済する責任があるのではないだろうか。
 そして友人の方にも、心おきなく第二の人生を歩むためにGさんに救いの手を差し伸べてもらいたいものだが、どうだろうか・・・。」